JR大阪駅前広場・歩道について(石埼学の個人的見解)(転載) [反戦ビラ闘争日誌] [編集]
JR西日本からの反応と石埼さんの鉄道営業法、道交法での規制を不当とする考察です。なおさらに道交法については細かく検討中だそうです。(管理人)
JR大阪駅前広場・歩道について(石埼学の個人的見解)
表現活動に対する妨害を中止するようにJR西日本のHPのフォームから「要望」をしていたところ、お返事がありました。JR西日本の「敷地」であり、JR大阪駅が管理しているの一点張り。
長くて恐縮ですが、以下のように私は考えます。
1 鉄道営業法35条の許可は不要
鉄道営業法(明治33年法律第65号)35条は、「鉄道係員ノ許諾ヲ受ケスシテ車内、停車場其ノ他鉄道地内ニ於テ旅客又ハ公衆ニ対シ寄附ヲ請ヒ、物品ノ購買ヲ求メ、物品ヲ配付シ其ノ他演説勧誘等ノ所為ヲ為シタル者ハ科料ニ処ス」と規定し、「鉄道地」で「物品ヲ配付シ其ノ他演説勧誘等ノ所為」をすることを許可制としています。本条の定める「鉄道地」について最高裁は鉄道営業法35条にいう「鉄道地」とは、「鉄道の営業主体が所有又は管理する用地・地域のうち、直接鉄道運送業務に使用されるもの及びこれと密接不可分の利用関係にあるもの」(最高裁昭和59年12月18日判決、吉祥寺駅構内ビラ配布事件)としています。つまり、鉄道会社が「所有又は管理する用地・地域」の全てが「鉄道地」なのではなく、そのうち「直接鉄道運送業務に使用されるもの及びこれと密接不可分の利用関係にある」場所のみが「鉄道地」だということです。「鉄道地」についてのこの最高裁の解釈と同じ立場に立って、それを反対解釈すれば「鉄道の営業主体が所有又は管理する用地・地域」であっても「鉄道地」ではない場所においては、チラシ配布等の表現活動をするのに許可は不要であるということになります。この最高裁の解釈を前提にすれば、本件の駅前広場・歩道(以下、「本件の場所」とする)は「鉄道地」でありえません。したがって、そこでチラシ配布等の表現活動をするのにJR西日本の許可等は不要なはずです。
かりに許可が必要であるとしても、明確な許可基準に基いて、鉄道運送業務や通行の著しい妨げにならない限りは許可するという運用をなすべきです。
2 本件の場所の特殊性
さらに、本件の場所は、非常に公共性が高いという特殊性を有しています。本件の場所に接して、その東側と西側には大阪市交通局のバス停があります。また本件の場所に接して、その南側には大阪市営地下鉄の出入り口があり、南側と東側には、大阪市の管理する歩道橋の出入り口があります。なお北側は横断歩道、まさに「道路」です。つまりは島のような場所です。
つまり、本件の場所は、これらの公共の施設を利用するために通過せざるを得ない場所であり、それらの公共の場所のど真ん中がJR西日本の「私有地」となっているのです。公共の施設を利用するために「私有地」を通過せざるを得ないというこの構造からも本件場所は公共性が極めて高いと評価できます。そもそもこのような場所が一企業の「私有地」となっていること自体に驚きを禁じ得ません。
本件の場所は、このような特殊性があるため、JR西日本の管理権は、非常に強く制約されると考えられます。この点からも、鉄道運送業務や通行の著しい妨げになるような態様のものでないかぎり、表現活動は、原則として、自由になされるべき場所であると考えられます。
3 道路交通法の適用があるのではないか。
道路交通法(昭和35年法律第105号)2条1項1号は、同法のいう「道路」を①「道路法 ・・・第2条第1項に規定する道路」、②「道路運送法 ・・・第2条第8項に規定する自動車道」および③「一般交通の用に供するその他の場所」と定義しています。
なお慎重な検討を要しますが、本件の場所は、この③の「道路」に該当し、道路交通法が適用されるべき場所であると考えられます。
かりにそうだとすると、「道路の使用の許可」について定めた同法77条に基づき一定の行為をする場合には、「当該行為に係る場所を管轄する警察署長」の「許可」が必要となります。本件に関して言えば、 同法77条1項4号のいう「道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為」であって「公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする」場合には所轄警察署長の「許可」が必要と言うことです(許可基準は、2項各号)。
本件の表現活動が、「一般交通に著しい影響を及ぼすような行為」でないことは明白です。
かりに、本件の場所が道路交通法上の「道路」には該当しないとしても、通常の判断能力を有する一般人の理解に照らしても、「道路」なのか「私有地」なのかは容易に理解しがたい場所です。最低限度、道路交通法上の「道路」に準じるものとして、道路交通法77条1項・2項と同様の「許可」基準を定め、原則、憲法21条1項の保障する表現活動を許容すべき場所であると考えられます。
まとめ
そもそも今回の問題の基本的な原因は、先述した通りに公共の施設を利用するために「私有地」を通過せざるを得ないという本件の場所の特殊な構造にあります。このような場合には、私的所有権といえども、憲法21条1項の保障する表現活動に謙譲すべきであると考えられます。
表現活動に対する妨害を中止するようにJR西日本のHPのフォームから「要望」をしていたところ、お返事がありました。JR西日本の「敷地」であり、JR大阪駅が管理しているの一点張り。
長くて恐縮ですが、以下のように私は考えます。
1 鉄道営業法35条の許可は不要
鉄道営業法(明治33年法律第65号)35条は、「鉄道係員ノ許諾ヲ受ケスシテ車内、停車場其ノ他鉄道地内ニ於テ旅客又ハ公衆ニ対シ寄附ヲ請ヒ、物品ノ購買ヲ求メ、物品ヲ配付シ其ノ他演説勧誘等ノ所為ヲ為シタル者ハ科料ニ処ス」と規定し、「鉄道地」で「物品ヲ配付シ其ノ他演説勧誘等ノ所為」をすることを許可制としています。本条の定める「鉄道地」について最高裁は鉄道営業法35条にいう「鉄道地」とは、「鉄道の営業主体が所有又は管理する用地・地域のうち、直接鉄道運送業務に使用されるもの及びこれと密接不可分の利用関係にあるもの」(最高裁昭和59年12月18日判決、吉祥寺駅構内ビラ配布事件)としています。つまり、鉄道会社が「所有又は管理する用地・地域」の全てが「鉄道地」なのではなく、そのうち「直接鉄道運送業務に使用されるもの及びこれと密接不可分の利用関係にある」場所のみが「鉄道地」だということです。「鉄道地」についてのこの最高裁の解釈と同じ立場に立って、それを反対解釈すれば「鉄道の営業主体が所有又は管理する用地・地域」であっても「鉄道地」ではない場所においては、チラシ配布等の表現活動をするのに許可は不要であるということになります。この最高裁の解釈を前提にすれば、本件の駅前広場・歩道(以下、「本件の場所」とする)は「鉄道地」でありえません。したがって、そこでチラシ配布等の表現活動をするのにJR西日本の許可等は不要なはずです。
かりに許可が必要であるとしても、明確な許可基準に基いて、鉄道運送業務や通行の著しい妨げにならない限りは許可するという運用をなすべきです。
2 本件の場所の特殊性
さらに、本件の場所は、非常に公共性が高いという特殊性を有しています。本件の場所に接して、その東側と西側には大阪市交通局のバス停があります。また本件の場所に接して、その南側には大阪市営地下鉄の出入り口があり、南側と東側には、大阪市の管理する歩道橋の出入り口があります。なお北側は横断歩道、まさに「道路」です。つまりは島のような場所です。
つまり、本件の場所は、これらの公共の施設を利用するために通過せざるを得ない場所であり、それらの公共の場所のど真ん中がJR西日本の「私有地」となっているのです。公共の施設を利用するために「私有地」を通過せざるを得ないというこの構造からも本件場所は公共性が極めて高いと評価できます。そもそもこのような場所が一企業の「私有地」となっていること自体に驚きを禁じ得ません。
本件の場所は、このような特殊性があるため、JR西日本の管理権は、非常に強く制約されると考えられます。この点からも、鉄道運送業務や通行の著しい妨げになるような態様のものでないかぎり、表現活動は、原則として、自由になされるべき場所であると考えられます。
3 道路交通法の適用があるのではないか。
道路交通法(昭和35年法律第105号)2条1項1号は、同法のいう「道路」を①「道路法 ・・・第2条第1項に規定する道路」、②「道路運送法 ・・・第2条第8項に規定する自動車道」および③「一般交通の用に供するその他の場所」と定義しています。
なお慎重な検討を要しますが、本件の場所は、この③の「道路」に該当し、道路交通法が適用されるべき場所であると考えられます。
かりにそうだとすると、「道路の使用の許可」について定めた同法77条に基づき一定の行為をする場合には、「当該行為に係る場所を管轄する警察署長」の「許可」が必要となります。本件に関して言えば、 同法77条1項4号のいう「道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為」であって「公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする」場合には所轄警察署長の「許可」が必要と言うことです(許可基準は、2項各号)。
本件の表現活動が、「一般交通に著しい影響を及ぼすような行為」でないことは明白です。
かりに、本件の場所が道路交通法上の「道路」には該当しないとしても、通常の判断能力を有する一般人の理解に照らしても、「道路」なのか「私有地」なのかは容易に理解しがたい場所です。最低限度、道路交通法上の「道路」に準じるものとして、道路交通法77条1項・2項と同様の「許可」基準を定め、原則、憲法21条1項の保障する表現活動を許容すべき場所であると考えられます。
まとめ
そもそも今回の問題の基本的な原因は、先述した通りに公共の施設を利用するために「私有地」を通過せざるを得ないという本件の場所の特殊な構造にあります。このような場合には、私的所有権といえども、憲法21条1項の保障する表現活動に謙譲すべきであると考えられます。
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