愛はなぜ終わるのか―結婚・不倫・離婚の自然史 (単行本・草思社) [本の紹介・書評] [編集]
この忙しいときに何を書いてるんだ、という人もいるかもわからんがそこはそれ、脱線話ですよ。すぐ閑話休題となりますから。えーと簡単にいうと不倫の科学的な分析本である。人類学を駆使し、生物学、心理学などその他の学問をも縦横に使って不倫の発生には科学的な根拠がある、とぶちあげてしまった衝撃本である。
動物の世界ではパートナーを繁殖期のたびに変えるものはそう珍しくはない。一方、相手が死ぬまでパートナーを毎年変えないカップルもいる。前者のメリットは遺伝子である。子供が成長して巣立った後、同じ遺伝子同士を交配させるのでは、種の中に多様性が生まれない。暑さに強いもの、寒さに強いものいろいろな性格を持つ個体があるから環境の変化にも耐え、生き抜けるわけだ。だから繁殖期のたびに相手を変えた方がその多様性が維持しやすい。後者のカップルを変えないメリットは子育てのさいの安定性であろう。しかしどちらかというと後者が少数派なのが自然界らしい。
人間はどうか。実は農耕社会の到来とともに、一夫一婦の結婚制度が生まれていて、生産手段により相手を自由に変えることが許されなくなった。産業革命から資本主義社会の台頭でその条件が大きく変わってきている、という結論だ。要するに「不倫」の発生にはちゃんと生物学的な根拠がある、というわけだ。ちょっと乱暴な要約ではあるが。
「死が二人を分かつまで」一緒でいたい、不倫せずにそのまますめばいいところだが、なかなか男女間の愛情は長続きしないもの。広末涼子も宇多田ヒカルも別れちまったしなあ。結婚やら恋愛やら当事者で夢中になっている間はなかなかこんな視点には目がいかないとは思うが、時に客観的に自分自身の人生を見つめ直すことも必要なこと。「不倫を勧めるとは何事!」と怒る人もいそうだが、あくまで科学の本だよ、これは。反論も十分可能そうではある。人間は本能のみに支配される生き物ではないからである(幸か不幸か、だが)。しかし一読の価値あり、と言っていこう。読んだのはずいぶん昔のことだけどね。
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この間民放をつけていたら、女性アナウンサーが重々しく「ここで、重大ニュースが入りました・・。」と告げたので「どこかでクーデターでも起きたか。」と思い、テレビに注目したら「広末涼子が・・。」と言いだし、私は唖然とし腹がたちましたよ。
(内容には関係ないコメントでスミマセン。)
by tamara (2008-03-29 22:48)
うむ。一部の人には「重大ニュース」なんでしょうねえ。どうでもいいじゃないか、という話に思う人の方が多いかも。
男女の恋愛は本当に難しいですね。100年の恋も一瞬で冷めるかと思えば、再沸騰なんてのもあるしいろいろですなあ。でも恋心は人生の潤いだと思いますよ。tamaraさん、いい恋しています?
by solea01 (2008-03-29 23:06)