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三多摩労争連4/18春季決起集会 記念講演「シャルリーエブド襲撃事件から考える~国家とテロリズム」 [その他の闘争日誌]

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昨日の労争連春季集会、参加は名簿上48名でした。鵜飼さんの講演は多様な問題提起を含むと思いますが、「テロ」は肯定しないけれども「対テロ戦争」とは違う視点での批判が必要。被害者も加害者も他者として退け遠くにおくような視点では、問題を越えきれない。簡単に言うとそういうことです。クリバリ容疑者の方が獄中待遇の改善を求め、「ルモンド」の取材を受けた過去やサルコジと面会歴もあったことは初めて知りました。以下難解な部分もあるが講演レジュメです。

シャルリーエブド襲撃事件から考える―国家とテロリズム」     鵜飼 哲
                          18/04/15@国分寺労政会館
1) 事件の予感と衝撃
西洋諸国の反レイシズム文化、歴史的壁に 米ファーガソン〜ロンドン
フランスでも何かが起こる 「聖戦志願者」はシリアへ/ユダヤ人はイスラエルへ
失業、家賃の高騰、路上生活者の増大、社会的不公正は修正の兆しなし 
「共和国」(公共的なもの)の崩壊感覚 → 国民戦線の躍進(2014年5月、欧州議会選で第一党に)
予測可能な事態 しかし、衝撃は巨大
2) 殺したのは誰か?
シャリフ&サイードのクアシ兄弟 
母子家庭 母自殺後は地方の孤児院で生活
兄は内向的、敬虔なムスリム/弟は外向的、サッカー、ダンス、ラップの名手
アメディ・クリバリ 
10代後半、非行に走る 19歳の強盗事件の際、親友が警察に殺される コカコーラの工場で勤務 移民系の若者の代表として、大統領府でサルコジと会ったことも 刑務所では隠し撮りでドキュメンタリを作成、獄中処遇を告発 『ル・モンド』紙のインタビューを受ける
一連の問い
イスラーム武闘派(「イスラーム国」「アルカーイダ」等)の指令はあったのか
武器はどのように入手したのか 
「シャルリーエブド」襲撃事件と「ユダヤ系スーパー」人質事件は関連していたのか
「私はフランス生まれだ、預言者が冒瀆されなければこんなことはしなかった」(クリバリ) 
3)殺されたのは誰か?
「シャルリーエブド」紙編集委員(ヴォランスキ、カビュ、シャブ、マリス・・・)は歴史的な存在 アルジェリア戦争期、68年5月〜湾岸戦争後まで左派の風刺画家・経済学者として活躍 ⇔ 近年の変節(O・シラン「シャルリ・エブドはレイシストではない? 君たちがそう言うなら・・・」)) 
シオニズムへの屈服=イスラーム風刺への傾斜
⇔ 反核、反原発活動家としてのカビュ(チェルノブイリ〜福島)
嶋中事件(1961年、深沢七郎『風流夢譚』掲載に対し中央公論社長宅が襲撃され、家事手伝いの女性が死亡)、朝日新聞阪神支局襲撃事件(1987年)などと類似性あり 暴力の政治的性格は右翼的(cf.バディウ「赤旗とトリコロール」)
加害者、被害者双方に「非妥協的な覚悟」
「膝をついて生きるより立ったまま死ぬほうがよい」(シャブ) 
→「同志的」批判の要請 「軽率さ」(バリバール「死者たちの、そして生者たちのための三つの語」) 左翼的出自の被害者たちに「革命的警戒心」の欠如を批判
自分たちの命とともに、フランス社会でもっとも脆弱な立場におかれている人々(ムスリム系移民とその子弟)を危険に晒すことの無思慮さ、無自覚さ
3) 戦時国家フランスのレイシズム
「イスラムフォビアに反対する集い」(1月18日)
「誰がテロリストなのか? フランスはアフリカで3つも戦争をしている・・・石油とウランのために。自分でまいた種だ」(ある女性参加者のプラカードから)
「レイシズム、反ユダヤ主義、外国人嫌悪に関する年次報告」(国立人権諮問委員会、4月9日公表)
「移民が多過ぎる」          70%
「イスラームに否定的意見」      45%
「ユダヤ人は金銭と特殊な関係を持つ」 62%
「ロマは統合を望んでいない」     77%
「イスラームはフランス社会のなかで特殊な集団をなしている」 46%
(カトリック8% プロテスタント6% ユダヤ教28%)                
「共和国」は市民間の和解を実現すべきでありレイシズム=「共和制普遍主義」に反するという理念 ⇔ 戦争=国家による合法的殺人にレイシズムは不可欠
この矛盾を糊塗するために国家は「テロリズム」という言葉を必要とする
4) 「テロリズム」とは何か?
「政治的概念はつねに抗争的」(シュミット『政治的なものの概念』)
→ 「テロリズム」は究極の政治概念 誰に向けて言われるか抜きに意味は確定しない
「経済主義とテロリズムはなにか共通点があるのか?」(レーニン『何をなすべきか』) 自然発生性への拝跪
「政治活動にはそれ自身の論理があって、この論理は、あるいはテロルに、あるいは経済闘争そのものに政治性をあたえようと、最大の善意をもって呼びかける人々の意識にはかかわらない。地獄への道は善意で敷きつめられている」
⇔ 「地獄とは善意が敷きつめられたイスラームである」(事件後、「共和国の女神像」に書かれた言葉)
「テロリスト」が多くの場合並みはずれた「善意の人」であることを認め、そのうえで彼/女らに対する「同志」的批判を組織すること(例えば「シャルリーエブド」襲撃事件の場合)・・・それがいかに困難でも(cf.フランス「共和国の原住民党」の作業)→ この時代の戦争阻止、平和的世界構築のための活動「それ自身の論理」が把握されないかぎり、「反テロ戦争」の「論理」への屈服の危険は去らない
(cf.鵜飼「「地獄への道は善意で敷きつめられている」」、『主権のかなたで』)
5) アラブ・中東世界の現在 — アルジェリア人との対話
「イスラーム国」の登場は第一次世界戦争後の中東諸国家体制の解体の一歩(「歴史の復讐」)
「ジハード主義」は西洋=湾岸産油君主国体制が、他のアラブ・イスラーム諸国を不安定化させるための策動 cf.「暗黒の10年」(アルジェリア)、イラク、シリア、リビア・・・
フランスで国民戦線が政権を獲得することはアルジェリアからの引揚者たちの「復讐」の始まり〜再侵略の予感
6) 「新しい戦争」と「古い戦争」
戦力の非対称性と戦争の非正規性〜長い歴史
20世紀国家の「全体主義化」と非正規戦争
「新しい戦争」 「兵士」となってはじめて生きられる社会
その原点はフランス革命 市民=兵士 国民軍創設(cf. バディ『新しい戦争』序文)
⇔ この歴史的展開のなかで東アジアは例外 軍事は国家が独占
「戦争は別の手段による政治の継続」(クラウゼヴィッツ)
日本の長期的政治目標は国連の常任理事国になること → 中国との覇権争いには不可欠 
西洋の平和維持活動、人道的介入(=植民地的論理の復活)に参加=改憲へのロードマップ ⇔ 「内政不干渉」原則の中国と正反対の動き
「周辺事態」概念の消滅  集団的自衛権は日米安保の内および外での軍事行動解禁が目的
NATOと日米安保の融合は「新しい戦争」と「古い戦争」の文脈の融合
EU 、NATOのアフリカ、中東介入は2008年以降の経済危機突破を目的とした戦略なき戦術的綱渡り(cf.キャンベル「パリの策謀」)
国際武器見本市(2014年6月、パリ近郊ブールジェ)に日本企業参加
イスラエル・ボイコット運動の抗議行動 ⇔ 安倍の中東訪問の背景
7) 辺野古米軍基地建設反対闘争と日本/世界の反戦運動の課題
沖縄の闘い 日米二重植民地体制への抵抗 → 対日本>対アメリカ
日本の国際的展開の相対的な対米自立志向と対応
自立/従属をめぐる議論を越えて「帝国主義は鎖をなす」(レーニン)という認識を深化=現代化すべき 
世界的な植民地的論理の復活=日本の軍国主義化に有利な環境
  反植民地主義の歴史的地平を再活性化しつつ、反原発と反戦を、反核を軸に国際的
  に展開する必要性 ← 世界社会フォーラムからの提起 新たな国際主義の形成へ
  平和を求める世界的世論の可視化に貢献しつつ、そのなかに日本、沖縄、東アジア
  の民衆的連帯を位置づける作業
                  


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